「雪は天からの手紙である。」とは、物理学者の中谷宇吉郎による名言ですが、
これは詩的な表現ではなく、雪の結晶を観察することによって、
雪が生成した時の上空の気象条件などがわかる、
つまり雪には情報が書き込まれている、という科学者としての言葉だったそうです。
自然の美と科学的考察の両方に魅せられ、生涯を雪と氷の研究に捧げた中谷宇吉郎の随筆は、
文章に透明感があり、何度読んでも心打たれるものがあって、たびたび愛読しています。
最近、彼の作品「雪」の中で紹介されていた、ウィルソン・A・ベントレーという
アメリカの農夫が撮影した雪の結晶の写真集 “Snow Crystals” を入手しました。
ベントレーは15歳の時に顕微鏡で見た雪の結晶の美しさに感銘を受け、
そのほぼ全生涯を、雪の結晶の観察と撮影に費やした人です。
学者でもなく写真家でもなく、デジタルカメラもなかった時代に、農業の傍ら、
ひたすら撮影し続けた雪の結晶の写真は6千種にも及んだといいます。
そして晩年、1931年にこの写真集を出版し、一躍名声を得た直後に急逝されています。
この独特にまぶしい写真集を見ていると、また別の意味で、
雪は宇宙からの手紙、ではないかと感じます。
私たち人間が皆それぞれ違うように、雪の結晶も1つとして同じものはないといいます。
これほど美しいものが次々と生み出され、手に触れれば瞬く間に溶けて消えてしまう…
この圧倒的な神秘の前には、ただ驚嘆することしかできません。
しかし一方では、そこには何か、人を極めて内省的にさせるもの、
誰の内にもある純粋さに気づかせてくれる何か、が刻まれているように思います。
現在、ヒーリングセッションに雪のエネルギーを取り入れています。
降る雪、積もる雪、純白の雪、静謐な雪景色…。浄化の性質はいうまでもありませんが、
雪の結晶のエネルギーはまた少しニュアンスが違うと思います。
それは幾何学模様とも似て非なるもので、1つ1つは違っていても、
ひとつの意思に連結され、有機的な集合体として動く群れのようです。
そのエネルギーは内なるものを純化させる光、音なき音楽、言葉なき手紙のようです。
それらは静かに語りかけてきます。
そうした領域に繋げてくれたのも、この写真集のおかげです。
ベントレーという人の純真さ、ひたむきさ、おそらく少しも偉そうでなかっただろう、
その偉大なる人生に、尊敬と感謝を捧げずにはいられません。
彼が撮影した雪の結晶は、YouTubeでも少し見ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=x8HYqUjbKeM
ヒーリングセッションの中で、雪の結晶のエネルギーを希望される方は、
お申込みの際に、お知らせください。